「ニューノーマル」時代の社会保障
[ソウル新聞・開かれた世界・2015年1月31日]
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員・高麗大学経済学科兼任教授
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員・高麗大学経済学科兼任教授
いつからか、微小粒子状物質で白く濁った空を見ると、暗い考えが浮かんでくる。2008年のグローバル金融危機以降、これまで慣れ親しんでいた高成長・完全雇用を「オールドノーマル」、すなわち時代遅れの過去の基準として色あせさせ、低成長・低所得を特徴とする「ニューノーマル」(New Normal・新たな局面の新しい標準)が新しい基準として定着しつつあるからだ。ここにさらに、超低出生率と急速な人口高齢化という別の「ニューノーマル」が近づいている。生産年齢人口の比率が高い「人口ボーナス」期間も、2017年からは生産年齢人口の減少を意味する「人口オーナス」に変わる。現在約660万人である65歳以上の高齢者数が25年後には1600万人に増え、一人暮らしの65歳以上の高齢者も132万人(2013年)から343万人(2035年)に増加する。一方、1980年代に年7~8%だった潜在成長率は現在3%前後であり、2017年以降には2%前後に下がり、2050年以降には1%未満に転落すると予想される。
状況が深刻であるため政府の動きも速まり、2011年から2015年まで「第2次低出生率・高齢社会基本計画」に投入される政府予算が70兆ウォン(低出生率40兆ウォン、高齢社会30兆ウォン)に達する。莫大な財源を投入したにもかかわらず、出生率の向上と高齢者貧困の緩和効果が大きくなく、政府の悩みは深まっている。低成長社会で就職することが難しく、たとえ就職したとしても大部分が非正規職で給料は少ないのに、家の価格が高いため結婚する勇気が出ない状況にある。働く母親たちは子育てが大変で、子供を産むことに負担を感じている。子供が大きくなって自分のように生きるのではないかと考え、出産を諦める若者も多いという。若年層の相当数が将来を設計しにくい状況にあるため、政府の政策が機能しないのである。
低出生率・高齢化問題の解決に向けた新年大討論会において、若者・青年層の要望事項は「選択と集中」であった。政策効果が大きく現れる場所に集中させてほしいということだ。「ニューノーマル」時代にこのような要求を政策に反映させるためには、既存の社会保障体系の大手術が必要である。大手術を可能にするためには、より良い状況にある集団の理解と譲歩が必要である。限られた予算を、低成長・低所得によって社会的リスクにさらされやすい集団(ワーキングプア、青年失業、長期失業者など)を優先的に保護することに使用しなければならないからだ。
今年の保健福祉部の業務報告には、「ニューノーマル」時代にふさわしい政策が含まれている。これまで加入資格がなかったパートタイム・短時間労働者の社会保険加入の許容、失職期間中の政府による社会保険料の支援、低所得労働者の保険料を支援する「トゥルヌリ社会保険」の対象者拡大が特にそうである。このような努力にもかかわらず、心残りな点がある。保険料を100%負担しなければならない低所得の自営業者、社会的リスクに多くさらされている日雇い労働者、宅配ドライバーやレミコン運転手のような特殊形態労働者への対策がないからだ。
このような状況で、来年から始まる「第3次低出生率・高齢社会基本計画」を策定しなければならない政府、特に主務官庁である保健福祉部の立場は困難であると思われる。もつれた糸のように複雑な問題を、特定の政府部門の努力だけで解決することは難しいからだ。低出生率・人口高齢化問題に関しては、政治的傾向や理念の差を脇に置き、我々が直面している現実と問題の深刻さを共有し、政策効果が最大となる方向で基本計画を立てるべきであろう。低成長・低所得・所得二極化の深化により、社会的脆弱階層が増えざるを得ない「ニューノーマル」時代に、社会的リスクに最もさらされている集団が優先的に社会保障の恩恵を受けられるよう、少なくとも20~30年は先を見据えたビジョンで社会保障制度を改編すべきである。
社会保障制度がうまく機能している国家には、それなりの理由があるようだ。スウェーデン年金管理機構の担当者が聞かせてくれた話は良い事例である。公正な業務遂行により、スウェーデンで最も信頼されている政府機関は国税庁だという。政府は信頼され、市民意識が身についた国民は自らの責任を果たしているのである。信頼される政府、成熟した市民意識を我々のビジョンに設定してはどうだろうか。このような努力を通じて、社会構成員の大多数が希望を持てる社会になることを期待したい。
出典:ソウル新聞(原文を見る)
