「マルメの涙」から12年
[ソウル新聞・開かれた世界・2014年8月5日]
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員・高麗大学経済学科兼任教授
老後所得保障の分野で、財政的・社会的な側面の持続可能性を確保した国家がスウェーデンである。高齢人口が増加し経済成長率が低下するという環境変化を年金制度に自動的に連動させた安定装置を導入したからだ。このような安定装置を1999年に導入したため、すでに15年も経った。筆者の研究分野が所得保障であるため、自動安定装置を確保したスウェーデンに関心が大きくなるのは当然である。この夏、スウェーデンのマルメを訪れたのは、持続可能性に対する悩みのためであった。環境汚染などによる気象異変の続出と持続可能な成長への関心が高まったことで、持続可能性を追求する親環境都市マルメへの関心が大きくなったからだ。
デンマークのコペンハーゲン空港からエーレスンド橋を渡る列車に乗れば、スウェーデンのマルメまで30分ほどかかる。実際に列車に乗ってみると、海の上に架かる橋と海峡の間に建設された風力発電所が目を引く。人口30万人の都市マルメの早朝は、あまりにも平穏であった。天候への適応が難しい冬場とは異なり、快適な7月の天気がマルメに対する印象をより良くしたようだ。
最近になってマルメに関心が集中している理由は、この都市が親環境をモットーとした持続可能性を追求しているからである。我々にとっては「マルメの涙」によって関心がより高まったようだ。2002年、現代重工業にわずか1ドルで売却された「コクムス」(Kockums)造船所のゴリアテ・クレーンが現代重工業に積み込まれる場面を生中継していたスウェーデン国営放送から出た言葉が「マルメの涙」である。衰退した都市マルメに対するやるせなさであっただろう。かつてスウェーデンの代表的な造船都市であったマルメ。韓国など新興造船強国に競争力を喪失した造船業を救うため、スウェーデン政府が莫大な財源を投入したにもかかわらず、マルメの造船業は復活しなかった。その後、マルメは「死の都市」という汚名を着せられた。このような危機から脱するために、マルメは放棄された海岸工場地帯を生態住居団地に変える都市再生計画を立てた。エネルギー源を水、風、風力と新再生エネルギーに代替することである。電力供給はバルト海の風力発電団地で、暖房用エネルギーは地熱で生産する。アパートの壁と駐車場に太陽熱集熱板を設置し、生ごみは車両用バイオガスに再生される。都市再生プロジェクトを通じて死の都市が生き返ったため、マルメへの関心が集中している。持続可能性が時代的な話題となった世の中であるため、なおさらそうであるようだ。
マルメを代表とするスウェーデンの産業構造調整の経験と、親環境をモットーとした持続可能性の追求は、我々に重要な示唆を与える。特に政府の産業政策の方向性の側面においてそうであるようだ。大規模な財政を投入したにもかかわらず閉鎖せざるを得なかった造船産業の構造調整の失敗経験を経て、スウェーデン政府は確固たる原則を確立した。特定分野の産業競争力が弱まった際、回生可能性の有無を評価し、回生可能性がなければ政府は絶対に財政支援を行わないということである。回生不可能な事業所または産業を整理する代わりに、消滅する事業所で働いていた勤労者が再教育を通じて別の職を得られるよう政府が保障する。再教育を通じて新しい職を探す過程が困難であっても、構造調整対象事業所の雇用主と勤労者も政府の構造調整に同意すると言う。元の職よりは劣るとしても、再教育後に新しい職を得ることができるからである。政府の確固たる原則の維持と、政府に対する国民の信頼があってこそ可能なことである。
すでに広く知られているマルメの都市再生プロジェクトおよび産業構造調整の経験以外に、筆者の目を引いたのはマルメという都市が提供する雰囲気であった。新しく建てる建物の一つひとつを既存の都市環境と調和させる建築過程、それを通じて過去と現在が絶妙に共存する姿、マルメ駅の壁面を連続的に流れる動画が提供する創造性が特にそうであった。この中で最も羨ましかったのが、澄んだ空と空気、その中で安らかな姿で生きる人々や野生動物の姿であった。
最近になってさらにひどくなった我々の濁った空、濁った空のように陰った顔が多い我々の社会。このような雰囲気の中で、我々と我々の後の世代が持続可能な人生を送ることができるだろうか。環境問題まで考慮した持続可能な社会構築のための深い悩みを持つべき時点であると思う。12年前の「マルメの涙」を流さないためである。
出典:ソウル新聞(原文を見る)
