「無差別犯罪」と社会保障制度の行く末
[ソウル新聞・開かれた世界・2012年9月17日]
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員
産業革命で量産された都市労働者の社会的リスクへの対処という観点から、19世紀末にドイツの鉄血宰相ビスマルクが導入した社会保障制度が、「福祉国家」という名の下、国別の特性に合わせて多様な形態で発展した。我々もまた、労災保険、健康保険、国民年金、雇用保険の順で社会保険制度を導入し、失業、職場での負傷、疾病、退職後の所得空白などに備えている。ここに、所得がないか所得が非常に低い階層には、国民基礎生活保障制度と医療給与を通じて、国家が最小限の生活を保障している。
このように外見上はすべて揃っているように見える我々の社会の内部を見ると、制度運営において抜け穴が少なくない。政策当局の努力にもかかわらず、雇用保険や国民年金のように所得保障を主目的とする社会保険ではなおさらである。不安定な雇用による頻繁な転職、それに伴う不規則な所得発生および低い所得水準、そして何よりも社会保障制度に対する理解不足と低いアクセシビリティにより、脆弱階層の社会保障制度適用率が非常に低いためである。困難に直面した際に再起の足がかりを設けるという観点から社会保障制度が導入されたという、社会保障の存在理由を振り返れば、我が国の社会保障制度運営に少なくない問題があることがわかる。自力で十分に暮らせる人々があらゆる種類の社会保障制度にすべて含まれている一方で、社会的リスクに最も多くさらされ、肝心の社会保障制度を切実に必要とする脆弱階層の相当数が、むしろ社会保障制度の適用対象から外れているのである。
国家が運営する社会保障制度だけでなく、民間保険を通じても社会的リスクに対処する高所得層と、所得が極めて低く国家から国民基礎生活保障制度の恩恵を受けている両極端の間には、日々の暮らしさえ精一杯で人生への希望がなく、社会保険への加入自体を諦める集団が多い。このように二極化現象が顕著である以上、社会保障をより強固にしつつ内実化できる方策を模索しなければならない。今年下半期から本格的に施行された低所得労働者対象の社会保険料支援事業である「トゥルヌリ社会保険」のような、脆弱階層対象の政府支援事業がより活性化されるべき理由である。これらの事業の活性化を通じて、社会保障の二極化を最小限に抑え、希望の種が生き返るようにしなければならない。
非常に暑かったこの夏には、強力な台風までが朝鮮半島周辺を襲い、農民を含む多くの人々が極度の苦痛を味わった。最近では、連日のように発生する「無差別犯罪」により、国民が不安に震えている。「無差別犯罪」が残す傷跡は、台風が切り裂いた痕跡とは異なり目には見えないが、台風よりも深い精神的トラウマを我々の社会に残している。「無差別犯罪」の発生原因としてさまざまな理由が提示されているが、それらの中でも、将来への希望がなかったためだという主張が最も説得力があるように聞こえる。前途洋々だと考える人が、自らの人生を台無しにしてまで他人を傷つける理由はないからである。
この機会に、社会保障制度が本来の目的通りに作動できるよう、誰もが多様な努力を傾ける必要がある。長い人生という航路において、本人の努力だけでは問題解決が困難なとき、再起の足がかりとして社会保障制度が機能するようにしなければならない。そのような社会では、すべての社会構成員の希望が息づき、社会のダイナミズムの確保が可能となり、おまけに我々に甚大なトラウマを与えている「無差別犯罪」も顕著に減少するだろう。
我々の社会で疎外されている脆弱階層の声が、他の集団に比べて小さいからといって放置してはならない。今は爆発していないが、いつかは我々の社会に極めて大きな衝撃を与える時限爆弾になり得るからである。今こそ我々全員が、熱い心と冷静な頭で周囲の状況を振り返り、これを癒やす望ましい社会保障制度の発展方向について悩まなければならない時だ。多くの社会構成員が希望がないと感じる社会の未来は、暗いほかない。歴史は巡る。遠くはフランス革命、近くは東学農民革命の出発点が何であったかについて、じっくりと考えてみるべき時点である。
出典:ソウル新聞(原文を見る)
