本文へスキップ
年金研究会

年金改革、的外れな矢

2023.04.27

[韓国日報・朝を開きながら・2023年4月27日]

ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員・元韓国年金学会長

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が成し遂げた年金改革を見ていると、もどかしい我々の現実ゆえに息が詰まる。最近の国会と行政府の納得しがたい歩みのせいだ。議論が多く問題も多い第5次国民年金財政推計の結果が先月31日に発表された。この財政推計結果に対する行政府の立場は次の通りである。

年金の歴史が長い大部分の先進国は、賦課方式で積立基金なしに運営しているという。人口の中位仮定における賦課方式保険料が最大34%、超低出生率仮定では最大42%になると予想されるという結果を発表しながら、政府がまとめた第一の示唆点が「先進国は賦課方式で運営している」ということだった。賦課方式は年金財源を当該年度の加入者に賦課するため、基金枯渇(2055年)後はその当時の経済活動人口が大部分を負担することになる。賦課方式保険料42%の意味は、国民年金の財源を調達するためには、当時の経済活動人口の月給の42%に相当する保険料を何らかの方法で徴収しなければ制度が維持できないということだ。

2055年まで支給する積立金があるため、今すぐではなく中長期的な観点からの財政安定措置が必要だとも述べた。文在寅政権が年金改革を行わなかったため、同一水準の財政安定を達成するには5年で保険料率を2%ポイントさらに引き上げなければならないという推計結果が出ているにもかかわらずである。5年前と比べてさらに悪化した出生率などで尹錫悦政権が何ら措置を講じないのであれば、文在寅政権時の2%ポイントよりもさらに多く、例えば3%ポイント程度を追加で引き上げなければ同一水準の財政安定を達成できないという点において、行政府の現実認識にもどかしさを感じる。文在寅政権に続き尹錫悦政権が何ら措置を講じないのであれば、同一水準の財政安定を達成するために、わずか10年で追加的に国民年金保険料を5%ポイントほどさらに徴収しなければならないのが我々の現実だからである。過去25年間、国民年金保険料率をわずか1%ポイントも上げられなかった国が我々であるため、もどかしくて息が詰まるほどなのだ。

このように悪化した財政推計結果に対し、行政府は国民年金の投資収益率を1%ポイントさらに高めれば基金枯渇の時点を5年遅らせることができる(保険料率2%ポイント引き上げの効果)としながら、肝心の喫緊の制度改革の必要性については言及しなかった。もちろん、今よりも国民年金の収益率をさらに上げようとする努力が必要であるという点については、筆者も同意する。基金運用本部が全北全州に位置しているため、収益率向上に必要な核心的人材、例えば代替投資人材を確保できず収益率が低下する現象に対する行政府と国民年金公団のもどかしい気持ちを分からずに言うのではない。国民年金の負担と給付水準の間の乖離、すなわち収支均衡の観点から制度の不均衡が激しい状態では、基金収益率の向上による財政安定努力だけでは限界があるという点を、国民とまず共有すべきであったことを強調するためである。我々と同水準の国民年金給付率を支給している国々が、我々より劣っているから保険料を2倍以上多く徴収しているのだろうか。年金制度の収支均衡を合わせ、未積立債務の増加を抑制して後の世代への負担転嫁を最小限にするためにそうしているのである。未積立債務とは、すでに年金を支給することにした額の中で不足している金額を意味する。

我々が年金を学んできた日本は、自らが運営する年金制度を賦課方式と呼ぶ。そのような賦課方式の日本厚生年金は、100年後である2123年になっても、1年分の年金を支給する資金を確保している。賦課方式で運営されているという大多数の先進国は、すでに年金財政の自動安定装置を導入した。年金運営における脱政治化と財政的な持続可能性を確保したという意味だ。喫緊の改革を先延ばしにしながら、我々のように選挙のたびに年金をより多く支給するというポピュリズムが横行する先進国はほとんどないということだ。主要先進国の中で公的所得比例年金を最も遅く導入した国家の一つであるカナダ(CPP)は、150年後でも年金を支給する資金の100%を確保している。政府はこのような例をなぜ国民に知らせないのか。

国会年金特別委員会は、年金給付率と保険料の組み合わせが核心である年金財政安定化方案の関連数値をすべて除いた、中身のない報告書を提出した。3回行われた特委公聴会の主題も基礎年金、退職年金、国民年金の収益率向上だ。年金特委設置の目的であり、国民の関心が最も大きい公的年金財政安定化方案の公聴会はなかった。行政府と国会の最近の歩みが納得しがたい理由である。

最近、行政府は公務員・軍人年金引当債務が1181兆ウォンに達すると発表した。公務員1人当たりの年間、すなわち毎年2000万ウォンを超える運営原価(2021年基準)の相当部分が、すでに将来世代へ転嫁されている。公務員・軍人年金制度運営原価の半分にも満たない18%の保険料率により、年金引当債務が拡大し続けるほかないにもかかわらず、これまでそうしてきたように、引当債務が増えても心配する必要はないというのが行政府の立場である。そのような公務員年金の今年の赤字補填額、すなわち公務員と国家が負担する18%の保険料率では退職公務員の年金を支給するのに不足し、国民の税金を追加投入しなければならない金額が、今年だけで6兆1000億ウォンに達する。ソウル大学教授を含む大多数の教授が加入している私学年金の未積立債務は170兆ウォンで、33万人の加入者1人当たり5億ウォンの借金を背負っている。年金改革を通じて2030年の1年間に予想される20兆ウォンの年金赤字を解決しようとするフランスと対照的な点である。フランスの年間20兆ウォンの年金赤字が全国民を対象としているのに対し、我々は少数の公務員年金など特殊職域加入者年金の赤字額が、間もなくフランスが節約しようとしている全国民対象の赤字額に匹敵する水準まで増えるためである。

去る3月末に発表された国会予算政策処の分析によれば、国民年金給付率を40%に維持しながら、10年以内に保険料を6%ポイント、すなわち15%まで上げれば、累積赤字が3700兆ウォンほど節約されると展望される。筆者が研究陣として参加し推算した、保険料の引き上げがない場合に予想される累積赤字7752兆ウォンの半分程度の規模だ。国民年金保険料を15%まで上げても、増え続ける累積赤字の半分程度しか減らせず、累積赤字が拡大し続けるということだ。

状況がこのようであるにもかかわらず、我々の社会は公的年金強化という名目で、基礎年金と国民年金の給付額を上げようという声の方が大きい。だからこそ、MZ世代(1980年代初〜2000年代初生まれ)など若年層の間で「このように運営するなら、いっそ年金制度を廃止しよう」という声が高まっているのである。国際通貨基金(IMF)の分析によれば、2000年から今後60年間にわたり、相当数の欧州連合(EU)加盟国では年金の累積赤字が減少することが示されている。世界で最も年金制度を運営する条件が悪い我々が学ぶべき年金改革の方向は、他ならぬEU加盟国のように年金の累積赤字を減らしていくことである。このような方向で改革することで節約される財源を、大韓民国国民として生まれたすべての人が最低限の生活を可能にできるよう、すなわち北欧諸国が採用している最低所得保障財源として活用することが、グローバルな年金改革の趨勢に同調する方向となるだろう。

出典:韓国日報(原文を見る)

関連記事