[ユン・ソンミョンのパースペクティブ]100年後にも国民年金を支給できる改革案を作ろう
[中央日報・ユン・ソンミョンのパースペクティブ・2022年9月8日]
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員・元韓国年金学会長・リセット・コリア 年金分科長
4回の国民年金財政推計が残したもの
第5次国民年金財政推計の出発を告げる財政推計専門委員会の第1回会議が先月30日に開かれた。財政推計専門委と共に運営される基金運用発展専門委が財政推計の基礎的な議論を行い、これに基づき後日構成される財政計算委員会で財政安定策など国民年金の改編方向を決定する。一刻を争う財政推計のために、財政推計専門委が先に発足したのである。
筆者は2003年の第1次国民年金財政推計から2018年の第4次財政推計まですべて参加した。4回の財政推計で筆者が担当した分野はすべて財政安定策であった。年金財政の安定を達成してこそ、脆弱階層に最低限の老後所得であっても保障してあげられる余力が生まれるという確信があったからだ。そうした結果、財政安定ばかりを強調し、適切な年金給付水準を疎かにしているという批判が出た。
韓国の国民年金財政推計期間は70年で、日本の100年より短いため、保険料収入はすべて把握されるが将来の年金支出額は大量に漏れる。楽観的な展望は国民年金の現実から目を背け財政をさらに悪化させており、OECD諸国の70%が導入した年金財政自動安定装置を急ぐべきである。
ドイツ・日本などが自動安定装置を導入
さらには、900兆ウォンの積立金を保有する国民年金の財政不安定さばかりを強調する「恐怖マーケティングの主唱者」という汚名まで着せられた。安定した財政基盤を通じて世代を超えて所得保障を強固にしようとしたにもかかわらず、国民年金加入者を不安にさせると非難された。年金の議論がなぜこのように揚げ足取りの議論に転落したのか、振り返るべき時点である。
2003年の第1次財政推計では、年金改編方向を決定する国民年金発展委の下に制度発展専門委と財政推計専門委があった。当時、筆者は制度発展専門委の幹事として、財政推計期間を70年に設定し、財政安定指標として財政推計が終わる2073年末の積立倍率を2倍にするという財政評価基準の設定を調整した。個人的には80年を好んだが、委員多数の反対で70年の財政推計期間に合意した。
財政安定を強調していた筆者とKDIの文亨杓博士(元保健福祉部長官)は、1998年のスウェーデンの自動安定装置導入を参考に、2008年の第2次財政推計では自動安定装置の導入を推進しようという共通の認識を形成した。我々が国民年金を学んだドイツ・日本も2004年にこの制度を導入した。これは毎年財政節約的な調整が自動的に行われる年金制度の運用方式である。政治的判断を排除することで、制度改革に要する消耗コストを最小限に抑えることができる。
第2次財政推計で財政安定策を担当した筆者は、最後の瞬間まで自動安定装置の導入を主張した。最終会議が京畿道楊平で1泊2日間にわたって行われた。2007年7月に国民年金財政安定措置が通過した翌年であったため、年金改革の動力確保が難しい時点であった。今回の財政推計では一拍置こうという立場が大勢だった。状況がそうであったため、次の第3次財政推計で自動安定装置の議論を本格的に行おうという内容を報告書に含めようという提案が出た。筆者も不本意ながらこの提案に同意した。
ところが、いざ2013年の第3次財政推計になると方向が大幅に変わった。年金財政担当委員が複数選定された。筆者のように財政安定を強調する委員と、国民年金基金が枯渇すれば賦課方式に転換して税金で調達しようという委員に二分して議論が進められた。専門家が単一の隊列を形成しても政界で拒否される現実において、委員会においてさえ単一案を作れないように議論構造が変わったのである。状況がこうであったため、委員会で数回の議論の末に自動安定装置の導入が拒否された。
保険料はわずかに上げ、給付額はさらに上げる
2018年の第4次財政推計は状況がさらに深刻になった。自動安定装置の導入を議論すべきだという主張が、委員会の初期に多数の委員から拒否されたのは序の口である。過去3回の財政推計過程で採用していた財政安定化措置期間を70年から30年に短縮した財政安定策が登場した。この場合、30年後の2048年までは基金が枯渇しない。基金枯渇は当時2057年と展望されていた。本心は公的年金強化という名目で、保険料は3.3%ポイントだけ上げながら、国民年金の所得代替率を5%ポイントさらに上げようとする点にあった。
これに対し筆者は、財政安定化措置期間を30年に設定するのであれば、財政推計期間を80~90年へと従来より10~20年さらに延長する案も委員会案に含めることを要求した。この要求をした理由は、公的年金の推計期間を無限期間まで延長してこそ、制度に内在する問題点を適切に示すことができるからである。特定の推計期間における問題点は、国民年金加入者の保険料収入はすべて集計されるが、将来の年金支出額がすべて把握されない点にある。70年の財政推計期間では保険料収入額はすべて把握されるが、将来支給する年金支出額の相当部分が漏れるため、楽観的な財政推計が行われるのである。
激しい議論の末、第4次財政推計では複数の財政安定策が提示された。30年を財政安定化措置期間として設定し、財政安定策を提示した「A」案が財政推計の歴史上初めて登場した。70年の財政評価期間を適用した財政安定策である「B」案が、二番目の案として提示された。「B」案は、財政安定の達成に必要な保険料率である17.2%まで引き上げることが難しい現実を考慮し、保険料率は13.5%と4.5%ポイントだけ上げ、フィンランド式の期待寿命係数を活用する方式であり、自動安定装置の概念を一部含んだ案であった。
保険料を20%に上げてこそ持続可能
しかし、2018年の保健福祉部による大統領報告と国会提出案において、「B」案は排除された。このような状況に接した経済協力開発機構(OECD)事務局の関係者たちは不可解に思った。2019年と2020年の2回にわたり世宗市で筆者と財政安定策を議論したOECD事務局の高位関係者たちは、「なぜ韓国政府は国民年金発展委が提示した『B』案を受け入れなかったのか」と問うた。グローバルな年金改革の方向に合致する「B」案が排除されたことを、彼らは理解しがたかったはずである。
第5次国民年金財政推計で解決すべき論点を整理してみよう。我々が採用した財政推計期間の70年はあまりに短く、国民年金に内在する諸問題を適切に知らせることができない。チェ・ギホン元韓国租税財政研究院招聘研究委員によれば、2020年基準で国民年金を財政的に持続可能にするには、保険料を11.2%ポイントさらに上げる必要がある。現行の国民年金保険料率である9%の2倍を超える20.2%の水準である。状況がこうであるにもかかわらず、この5年間、保険料を2~3%ポイント上げる条件で国民年金の給付率をさらに上げると言いながら時間を浪費した。自動調整装置の導入に先立つ先決的な基本課題においてさえ、足踏み状態であった。
少子高齢化の中でも年金ポピュリズム
これらの問題を適切に把握するため、日本やカナダの場合は我々よりはるかに長期の財政評価期間を採用している。認めたくはないが、我々が国民年金を学んだ日本の厚生年金は財政評価期間が100年であり、カナダ年金(CPP)は150年に設定している。両国ともその時点まで年金を支給する資金を確保している。カナダは150年後にも支給する資金の100%を確保している。年金基金ではないが、将来世代の負担を軽減するため、ノルウェーは政府系ファンドで国内総生産比300%を確保している。
世界で最も低い水準の出生率であり、OECD加盟国の中でも高齢者扶養率が最も速く、しかも最悪のケースへと突き進む我々が、収支均衡を達成する保険料水準に大きく及ばない保険料を納めている。また、OECD加盟国の70%が導入した年金財政の自動安定装置を導入できていない。
さらに、これらの問題についてこれまで真剣な議論自体ができなかった最も基本的な理由は、適切な財政推計結果を出せていないからではないだろうか。極めて楽観的な財政見通しによって、国民年金の現状が見えなくなっているからではないだろうか。今回の第5次財政推計では、過去20年間にわたり急速に延びた平均寿命が年金財政に及ぼす影響を適切に把握するためにも、少なくとも10年以上財政推計期間を延長した財政推計結果が提示されなければならない。
筆者が好む財政推計期間は日本の厚生年金と同じ100年だが、すぐに100年へと30年延長することが難しいのであれば、少なくとも10年だけでも延長し、2093年ではなく2103年までの財政推計結果を提示すべきである。年金ポピュリズムが勢いづくことを少しでも抑えられる措置ではないかと考える。
出典:中央日報(原文を見る)
