本文へスキップ
年金研究会

東北アジアの年金三国志

2015.11.30

[ソウル新聞・開かれた世界・2015年11月30日]

ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員

毎年、アジア・太平洋地域の年金専門家が集まり、国別の年金制度の運営現状と改革方向を議論しているため、どの国でどのような議論が進んでいるかへの関心が高い。数週間前に済州島で開催された経済協力開発機構(OECD)アジア太平洋地域年金専門家会議の印象は、例年とは全く異なっていた。中国の年金改革の歩みが予想より早かったからだ。つい最近まで、福祉問題など西洋式の社会保障制度分野は、我々が中国よりも制度運営の経験が多く、制度の発展方向についての悩みも多く抱いているという自負があった。1867年の明治維新直後に公務員年金を、一般国民向けには1942年に公的年金を導入した日本から年金制度の基本枠組みを持ってきたが、それなりに安定的な制度定着のために努力したと自負していたからである。

ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員

しかし、我々が東北アジア三国のうち時代潮流に最もついていけていないという印象を抱かせたのが、今年のOECDセミナーだったと思う。すでに日本は2004年の改革を通じて、高齢人口が増加し経済成長率が低下しても持続可能な年金制度を導入した。

社会・経済環境の変化に年金額を自動的に連動させる自動安定装置を導入したからである。日本の厚生年金が100年後まで財政健全性を確保することになった背景だ。さらに重要な点は、年金制度の運営において政治的な判断を排除できるようになったことである。

全人口に占める高齢人口の比率が急速に増加する社会において、自動安定装置が持つ意味は相当なものである。投票で意思決定が行われる民主主義社会において、票の結集力が高い高齢層の政治的な影響力を根本的に遮断できるからだ。このような必要性から、我々も自動安定装置の導入を議論したことがある。

二度目は国民年金の財政状態を点検していた2008年であった。筆者を含む少数の専門家が自動安定装置導入の必要性を唱えたにもかかわらず、当時は時期尚早であるという反対論理に押され、まともに議論することさえできなかった。

ところが、日本に続き中国が自動安定装置の導入を検討している。政府省庁間で詳細についてわずかな意見の相違があるのみで、自動安定装置、すなわち名目確定拠出(NDC)型年金制度の導入に中国政府が合意したという内容を、今回の済州島OECD会議で確認することができた。中国よりも西洋式社会保障制度の運営経験が多く、人口高齢化がOECD加盟国の中で最も速く進行している我々が、高齢化への準備においては東北アジア3国のうち最も遅れているという事実が確認されたのである。

韓国を含む東北アジア3国と同じくらい競争心の強い地域がスカンジナビア3国であると思う。環境変化に適応するために、国家が運営する公的年金に自動安定装置を初めて導入した国家こそがスウェーデンである。それも、すでに16年前のことだ。安楽な老後生活が可能な手厚い年金制度を強調していた社会福祉学者たちから猛烈な非難を受けた大事件であった。

これまでの寛大な年金制度を放棄する代わりに、自分が納めた保険料に経済成長率分だけを利息として加算することが自動安定装置の核心だからである。長生きして年金を受け取る期間が増え、経済成長率が低下すれば、その分だけ年金額も減少する。ただし、脆弱層への安全装置は設けた。年金額が最低生計費に満たない場合、国家が税金で差額を補填する最低保障年金を通じてである。フィンランドとノルウェーも同様の制度を導入した。ところが、目を東北アジア3国に向けると、周辺国のうち我々だけが高齢化準備において後れを取っているという印象を拭い去ることが難しい。

いまから3年後の2018年になれば、4回目に国民年金の財政状態を点検することになる。これまでの国民年金財政推計において人口高齢化への準備を適切に行えなかったという点で、今回は適切な準備をすべき時となった。我々が直面している様々な問題を正しく把握するには、深い考察が必要である。そのためには十分な時間をかけて、国民年金を含む公的年金制度の財政推計準備をしなければならない。あれこれ理由でこれまで手をつけることができなかった事案があまりに多く、これらの事案を効果的に修正するには、徹底した準備とともに現実を正しく知らせるための時間と努力が必要だからである。

出典:ソウル新聞(原文を見る)

関連記事