年金引当債務を見る二つの視角
[ソウル新聞・開かれた世界・2014年4月23日]
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 年金研究センター長・高麗大学経済学科兼任教授
「2013会計年度 国家決算報告書」が公表された後、年金引当債務(支給する年金額より保険料を少なく徴収することで発生する債務)が関心を集めている。昨年、国家負債1117兆ウォンのうち、公務員年金と軍人年金の引当債務が596兆ウォンに達したからだ。遅すぎる感はあるが、国家決算報告書に公的年金引当債務を明記したことは歓迎すべきことである。年金引当債務をどう解釈するかが鍵となるだろう。
ユン・ソンミョン 韓国保健社会研究院 研究委員
まず「2013年 国家決算報告書」に、引当債務属性のすべての年金債務が含まれていなかった点を考慮しなければならない。国家が使用者ではないという理由で、私学年金は年金引当債務の算定から除外された。論争の余地はあるが、公務員年金と類似した支給条項があるという点で、60兆ウォンを超える私学年金債務も国家負債の一部として見るべきだろう。昨年、支給保障を巡る立法論争の末に、年金支給に国家が最善を尽くすことで結論が出た国民年金の潜在債務(Implicit pension debt)も考慮すべきである。国家が維持される限り、国民年金の支給を止めることはできないからだ。制度の歴史が短いにもかかわらず、強度の高い財政安定化措置を講じた国民年金の潜在債務も、すでに400兆ウォンを超えた。
国家の公式的な支給保障の有無、国家決算報告書への年金引当債務の包含か否かに関わらず、広義の年金引当債務を1000兆ウォン以上と見るべきだと判断する背景である。状況がこうであるため、年金引当債務に対する適切な管理方策の策定が急務に見える。年金引当債務が急速に増えていることを挙げ、かなり前から筆者を含む一部の年金専門家は年金改革の緊急性を強調してきた。一方で、今後徴収する保険料で年金引当債務相当額を支給するため、年金引当債務の一部のみが国家負債であるという反論も絶えず提起された。このように相反する主張が提起される場合、国民は混乱せざるを得ない。
「保険料をいくら徴収しようと、約束した年金額は必ず支給する」という確定給付方式(DB)年金制度の属性上、支給することを約束した年金額より保険料を少なく徴収すれば、引当債務が増えるほかない。我が国のすべての公的年金制度が確定給付方式を採用している状況において、公表された年金引当債務がすべて国家負債にならないためには、毎年赤字が発生してはならず、同時にすでに積み上がった年金引当債務も減少しなければならない。しかし、2014年の公務員年金と軍人年金の赤字補填額が3兆8000億ウォンに達するという展望は、徴収する保険料より支出される年金支出額が多く、今後も年金引当債務が引き続き増え続けるほかないことを示唆している。私学年金と国民年金も程度の差こそあれ、状況は同様である。
我々に広く知られている模範的な福祉国家であるスウェーデンとノルウェーは、年金引当債務がこれ以上増えないよう、年金自動安定装置(Built-in-stabilizer)を導入した。スウェーデンは15年前、ノルウェーは3年前に導入した。統一問題で最近我々の関心が集中しているドイツ、高齢化に苦しんでいる日本も、10年ほど前にすでに年金自動安定装置を導入している。
このような状況において、数日前に韓国と日本を担当する経済協力開発機構(OECD)のランドル・ジョーンズチーム長が送ってきた電子メールが、筆者の心を重くさせる。日本が自動安定装置を導入したにもかかわらず、人口高齢化による年金支出の増加が政府財政を悪化させており、解決策を模索するために来る6月に日本へ行くという内容だからだ。最近のブルームバーグ通信によれば、2014年末の日本国家負債はGDP比242%と予想される。しかし、膨大な国家負債のうち外国人投資の比率が8%に過ぎないという事実にも注目すべきである。政府債務の規模は大きいが、債務の大部分を日本内部で消化しているからだ。
状況がこうであるため、「国家負債だ、ではない」と年金引当債務の性格について論争している我々は、悠長に見える。年金引当債務がこれ以上増加しないよう、すでに自動安定装置を導入したにもかかわらず、スウェーデンや日本などは追加的な年金改革を検討しているからだ。現在GDP比7%線である社会保険と基礎老齢年金の支出が、人口高齢化により26年後の2040年に19.7%に達する国家こそ、まさに我が国である。2040年以降には高齢者人口比率が日本と同程度になる我々が進むべき道は何だろうか。年金改革の方向性とあわせて、年金改革の強度に対する国民的な共通の認識の形成を急ぐべき時であると思う。
出典:ソウル新聞(原文を見る)
