(オーマイニュース、2025年8月25日)国政委が描いた福祉政策の地図…李在明政権の「青写真」が機能するには?[ソーシャル・コリア]
![(オーマイニュース、2025年8月25日)国政委が描いた福祉政策の地図…李在明政権の「青写真」が機能するには?[ソーシャル・コリア]](/uploads/editor/2026/10/4fc2f67ba6574c5dbfbf98b03ad56b04-1791954133280.jpg)
李在明政権が今後5年間に推進する国政運営計画が、去る13日に公表された。1号課題は憲法改正で、権力機関改革、同一労働同一賃金政策など123の課題が示された。国政企画委員会(以下「国政委」)がこの2か月間に作業した結果であり、国政委は210兆ウォンの財源が必要だと明らかにした。これらの課題は、さまざまな議論と政府の最終検討を経て、今後確定するものとみられる。
国政課題には公開版だけでなく、非公開版である「細部履行計画」も存在し、そこには具体的な政策方向だけでなく、それに伴う年次別の執行計画やリスク管理など、担当省庁が果たすべきミッションが詳細に盛り込まれている。いわば「5年間の政策地図」の役割を果たすわけだ。国政委でその地図が作られる過程に参加した経験をもとに、福祉政策を中心に、どのような課題があり、争点と限界が何なのかを語ってみたい。
地域社会統合ケア、地域間格差がカギ
今回の政権が重点的に推進することになる福祉政策の核心の一つは、「地域社会統合ケア」(以下「統合ケア」)である。すでに超高齢社会に突入した韓国において、最大の社会的リスクは老後不安であり、それは健康とケアの危機を伴う。高齢になっても自分が暮らす生活圏の中で生活を続けられるよう、医療と介護を一体的に提供しようというのが統合ケアの趣旨である。
これまで分断的に設計・実施されてきた長期療養・医療・地域社会内の各種サービスを統合的に提供し、地域住民の生活に対して実質的な機能を果たせずにいる自治体の能力と権限を立て直すことが、統合ケアの核心的な内容である。
来年3月の本事業実施が予定されるなか、国政委は、統合ケアを責任をもって支える汎政府政策推進団を構成するなど、福祉部内に統合ケアを所管する組織をつくった。同時に、初期の2年間は普遍的サービスの開発と拡充のために予算を積極的に支援し、その後は成果に基づいて予算支援に差を設ける予定である。自治体が効率的に政策を執行できるよう支援する根拠も設けた。市郡区単位に専担組織を設置し、専担人員の大幅な拡充や、保健所などの既存の地域社会資源を積極的に活用できるようにした。
サービス内容においても、既存の在宅サービスと統合在宅機関を拡大し、在宅医療と在宅看護、訪問リハビリと訪問栄養、退院患者へのサービスを整えるようにした。これまで十分でなかったサービスの量や種類を補強することについての議論も行われた。社会保険機関(国民健康保険公団・国民年金公団など)との協力関係の構築や、サービスインフラの脆弱地域における社会サービス院の役割などについての議論は、今後検討する予定である。
また、高齢者ケアのための支援住宅としてのケア安心住宅や、退院患者のための「中間の家」など、さまざまなモデルを活用する方策も盛り込まれた。対象者も、高齢者だけでなく障害者、精神疾患者まで任期内に拡大する計画である。
さまざまな方策が示されたにもかかわらず、懸念される点もある。統合ケアは結局、▲自治体の積極的な行政遂行 ▲対象者のニーズの十分な発掘とサービス連携の円滑な実行 ▲地域内のサービスの種類と量の十分さなど、各要素がうまくかみ合うことが重要である。
しかし、われわれの現実に照らしてみると、これらが実際に可能かどうか確信するのは非常に難しい。ややもすれば総合的な力量の高い自治体でのみ適正なサービスが十分に提供され、そうでないところでは問題がさらに深刻化する可能性が高いからである。したがって統合ケアにおいては、地域間格差の問題をうまく解決できるかどうかが課題になると予想される。
国家責任の拡大を宣言した公的年金、基金に移った戦場
昨年一年を最も熱くした福祉分野のキーワードの一つは「年金改革」であり、この部分も国政課題に盛り込まれた。第21代国会の終盤における市民参加型の公論化を通じて、十数年にわたって論争が続いた国民年金の「所得代替率・保険料率」の調整は、第22代国会で所得代替率43%・保険料率13%でひとまず決着し、各種クレジットの拡大や国による支給保証の法定明記など、意味のある進展もあった。
国政委はこの基盤の上で、老後所得に対する公的責任をさらに拡大し、実質的な老後所得を保障できる方策に集中した。青年世代の年金不信を解消するため、「青年の生涯初の保険料支援」を新たに導入することにした。また、軍服務クレジットを服務期間全体に拡大して認める方策や、出産クレジットを出産時にすぐ適用するようにするなどの改編案を盛り込み、特殊形態労働者など低所得の地域加入者の保険料支援など、死角地帯の解消に向けたさまざまな取り組みを推進することを明らかにした。
働く高齢者に対する国民年金の減額制度や、夫婦単位の基礎年金減額制度の改善に関する内容も国政運営計画に盛り込まれた。国会年金特別委員会の議論と連携して多層的老後所得保障体系を構築する課題を継続的に推進するという点も盛り込まれている。国家責任強化の意志が明確ななかで、国民年金の財政および基金運用に関する内容もまた一つの課題として選定された。この部分は大統領選挙当時の公約ではなかったが、国政課題を議論する過程で取り上げられた。特に▲国家財政の役割強化 ▲収益率の向上および基金の社会的責任強化などの内容が含まれたが、今後、年金をめぐる社会的論争が制度ではなく「基金」で繰り広げられる可能性が高まったという点で目を引く。
まず「国家財政の役割強化」は、文字どおり国民年金財政に対する国家の実質的な役割を拡大する部分を含んでいる。国民年金法上、国家は財政を「計算」するだけで、国民年金への一般財政の投入はほとんど行わないなど、実質的な責任を回避してきた。健康保険の場合、法律で定めた水準を毎年国庫支援して財政安定性を確保してきたのに比べ、国民年金財政は事実上、国家がほとんど放置してきたのである。その結果、十数年にわたり基金枯渇論という恐怖マーケティングがはびこった。今回の議論を通じて、今後、財政構造の中で国家の責任がどこまでなのかをめぐり、相当な論争が続くだろう。
「収益率の向上および基金の社会的責任強化」は、国民年金の個別資産クラスが超過収益率を持続的に達成できる方策を総合的に検討・実行すると同時に、責任投資の基調に沿って全資産クラスがESG(Environmental=環境、Social=社会、Governance=企業統治の英語の頭文字を組み合わせた用語で、持続可能性を達成するための3つの核心要素を意味する)原則に従って運用されるようにする方策を意味するとみることができる。
特に受託者責任活動(国民の資産を安定的に管理し、資産の価値を高めるために、株主権の行使と責任投資活動を透明に履行する一連の活動)の場合、大きな変化を内包しているとみることができる。財閥大企業の経営権防衛や環境・社会関連の課題への対応に関して、国民年金の受託者責任活動は彼らの利害に真っ向から反するものだったが、これをさらに強化するという趣旨であるため、資本の立場からはその不快感がさらに大きくなるだろう。
国政課題の策定過程で議論された部分の一つとして、国民年金の社会投資を検討する必要があるという意見も提起された。国民年金基金は主に「信託基金」的な性格として理解され、単に内部の財務的収益率にのみ集中した結果、金融部門にのみ99.9%を投資してきた。進歩陣営ではこうした流れに問題意識を持ち、国民年金が「社会投資資本」の役割も果たすべきだと批判してきた。
わが国のようにケアと住居環境が不安定で、不動産市場に相当な資金が縛られている状況において、国民年金が社会的収益率に注目し、賃貸住宅や病院、介護施設などの公共インフラにも一部投資するならば、昨今の問題を解きほぐすうえで少しでも役立ちうるという問題意識である。国政委でもこうした内容が議論されはしたが、公式化することはできなかった。ただし、こうした内容が今後、李在明政権で十分に検討・推進される余地は残っている状況とみられる。
李在明政権のビジョン「基本社会」、どこまで来たか
文在寅政権の発足当時、社会政策のビジョンとして示された「包容的福祉国家」は、その意味が何なのか曖昧な面があった。当時、国政課題の策定段階で包容的福祉国家という言葉は入ったものの、その含意や具体的な戦略が何なのかなどについて詳しい説明がなかったためである。その後設置された政策企画委員会が、社会政策だけでなく経済政策まで包括する「革新的包容国家」という改革ビジョンと課題を示し、論争を鎮めたことがある。
新政権の福祉ビジョンは「基本社会」だといえるだろう。憲法上の権利といえる人間の尊厳と価値、および幸福追求権を保障しようとするビジョンだといえる。「条件なしに誰もが享受するサービス」など4大戦略と、基本ケア、基本医療、基本住居、基本通信など10大核心課題を通じて、「基本的な生活の保障によって皆が幸せな社会」を目標としている。あわせて、大統領直属の基本社会委員会だけでなく、市・道と市・郡・区にも地域委員会を設置し、基本社会総合計画および戦略課題の策定、市民社会との協業などを実行するよう設定した。
基本社会推進の核心はガバナンスである。これに関連して、新設される基本社会委員会は既存の社会保障委員会と機能が重複しうるという論争が提起される余地がある。しかし基本社会委員会は、より幅広い議題を扱い、自治体まで含む総体的なアプローチを志向するという点で、単に総理主管の会議体として役割を果たす社会保障委員会よりも、さらに包括的な政策議論と企画が行われうるものと期待される。
しかし、基本社会委員会が実質的な役割を果たせるかどうかについては、懐疑的な見方が少なくない。「基本社会」というビジョンは憲法上の権利保障の面で宣言的な意味が大きいが、具体的にどのような課題を抱えていくのかについても、早期に国民に十分な説明が示されるべきだろう。たとえば、少なくとも国際労働機関(ILO)の「社会保障の最低基準に関する条約」(第102号)の批准のように、骨太で国民の生活に相当な影響を与えうる戦略課題などを搭載し、実質的な推進を成し遂げることも考慮してみる価値がある。また、ガバナンスの構成および運営においても、さまざまな分野の専門家や市民団体を参加させてバランス感覚を保つことも重要である。
福祉には市民の手がもっと必要だ
いつもそうだったように、新たに発足する政権の課題は意欲的に作られ示されるが、任期が終わる頃に振り返ってみると、その成果が非常に乏しく失望することが多かった。特に、現在韓国社会が乗り越えなければならない複合危機を前にして、そうした現象が繰り返されるのではないかという懸念が多いのも事実である。上記の統合ケアと年金、基本社会なども非常に難度の高い課題であり、少数の政治家と特定省庁の官僚の力だけでは解決するのは難しいと見ている。
あえて提言するならば、新政権が描いた福祉の地図が道しるべの役割を積極的に果たすためには、目的と過程が明確に設定されなければならない。新政権の福祉政策の目的が、市民の生活を改善し社会全体に利益をもたらすことにあるという点を明確にすべきである。同時に、政策を遂行し発展させる段階で、各分野の現場の専門家や労働組合、市民団体などと協力し、意見を交わす姿も示さなければならない。昨冬の弾劾も、6月の大統領選挙も、市民が作り出した。福祉政策も同様に、市民が共に作り上げていく成功の歴史として記録されることを願う。
筆者紹介:キム・ジョンモク労働運動活動家は、韓国労働組合総連盟で社会政策を担当している活動家です。2014年に韓国労総に加わり、福祉国家、年金改革とケアなどの議題に関心を持って活動しています。経済社会労働委員会の社会安全網改善委員会、国民年金審査委員会、健康保険異議申立委員会など、各種の政府委員会に委員として参加し、労働者の利益を実現しようと努めてきました。最近では、公的年金強化国民行動の青年TFチーム長、ソーシャル・コリア編集委員など、さまざまな活動を通じて福祉国家実現のための代案を模索することに力を注いでいます。
https://n.news.naver.com/article/047/0002485298?sid=10
